エンディングノートの書き方と第一歩|後悔しない終活の始め方
- watanabe6049
- 5月16日
- 読了時間: 14分
人生の最期を迎えるとき、大切な人たちに伝えたいことや希望はありますか?
エンディングノートは、そんな思いを形にする大切なツールです。この記事では、エンディングノートの基本から書き方、保管方法まで、初めての方でも安心して取り組める情報をお届けします。終活の第一歩として、ぜひ参考にしてください。

エンディングノートとは?よく聞くけどどんなもの?
エンディングノートという言葉を耳にする機会は増えましたが、具体的にどのようなものか、どのような役割があるのかを理解している人はまだ少ないかもしれません。
そこでここでは、エンディングノートの基本的な意味と役割について解説します。
エンディングノートの意味と役割
エンディングノートとは、自分の人生の終わりに向けて、大切な情報や希望、メッセージを書き残すためのノートです。
財産や葬儀の希望だけでなく、医療や介護に関する意思表示、家族への思いなど、幅広い内容を記録します。
このノートは、もしもの時に家族が困らないよう必要な情報をまとめておくとともに、自分の人生を振り返り、残りの人生をより充実させるきっかけにもなります。
つまり人生の集大成として、あなたの思いや希望を形に残す大切な役割を担っています。
遺言書とは何が違うの?法的効力の有無について
エンディングノートと遺言書は混同されがちですが、大きな違いがあります。最も重要な違いは「法的効力」です。
遺言書は法律で定められた形式(自筆証書遺言、公正証書遺言など)に従って作成され、財産分与などについて法的な拘束力を持ちます。
一方、エンディングノートには法的効力はなく、あくまで自分の意思を伝えるための「参考資料」という位置づけです。
項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
法的効力 | なし | あり |
記載内容 | 財産情報、医療・介護の希望、葬儀の希望、メッセージなど幅広く | 主に財産分与に関する内容 |
形式 | 自由(市販のノート、専用ノート、データなど) | 法律で定められた形式が必要 |
目的 | 家族の負担軽減、自分の希望伝達 | 財産の分配を法的に確実にする |
エンディングノートを書くメリットとは?
エンディングノートを書くことは、自分自身と家族にとって多くのメリットがあります。
ここでは、主なメリットを3つご紹介します。
家族が困らないためにできること
エンディングノートを書くことで、もしもの時に家族が直面する様々な判断や手続きの負担を大きく軽減できます。
例えば以下のような点で家族の負担を減らすことができます。
銀行口座や保険などの財産情報をまとめておくことで、相続手続きがスムーズに
葬儀の希望を明確にしておくことで、家族が迷わずに準備できる
医療や介護の希望を記しておくことで、家族が代理で決断する際の心理的負担を軽減
実際に、突然の不幸で何も情報がないまま残された家族は、銀行口座の存在や保険契約の有無など、基本的な情報の把握にさえ大変な労力を費やすことになります。
エンディングノートは、そんな家族の負担を減らすための思いやりの形と言えるでしょう。
自分自身の気持ちを整理できる
メリットの2つ目はエンディングノートを書く過程は、自分の人生を振り返り、価値観や大切にしていることを見つめ直す貴重な機会となることです。
これまでの人生で感謝したい人や伝えたい思いの整理
自分が大切にしてきた価値観の再確認
残りの人生で実現したいことの明確化
このように、エンディングノートは単なる情報整理ツールではなく、自分自身と向き合い、人生の意味を考える「自分史」の側面も持っています。
書くことで心の整理ができ、より充実した毎日を送るきっかけになるのです。
自分史とはこれまでの生い立ちや写真、残したい言葉、家族へのインタビューなどあなたの人生を文章化したものになります。
株式会社NAMEでは自分史作成サービス「STORY」でお客様のサポートをさせて頂いております。
老後の不安を減らし、安心した生活を送る
また、「もしも自分に何かあったら…」という漠然とした不安は、多くの人が抱えるものです。
エンディングノートを作成することで、こうした不安が具体的な「対策済みの事項」に変わることで穏やかに生活することができるようになります。
この安心感は、現在の生活の質を高め、より前向きに日々を過ごす力になります。
つまり終活は「終わり」のための活動ではなく、「今をより良く生きる」ための活動なのです。

【初心者向け】エンディングノートの書き方と第一歩
エンディングノートを書いてみたいけど、何から始めたらいいかわからないという方もいるかもしれません。
ここでは、エンディングノートの書き方と、最初に書いておきたい基本項目について解説します。
まずは「これだけは書いておきたい!」基本項目とは?
初めてエンディングノートを書く場合、何から始めればよいか迷うかもしれません。
まずは以下の基本項目から取り組むことをおすすめします:
個人情報の基本:氏名、生年月日、住所、連絡先
家族の連絡先:緊急時に連絡すべき家族や親族の情報
大切なものの保管場所:通帳、印鑑、保険証書などの保管場所
医療に関する希望:延命治療についての意思など
葬儀に関する希望:葬儀の形式や規模についての希望
これらの情報は、もしもの時に家族が最初に必要とする基本的な内容です。
まずはこの5項目を目標に、少しずつ書き進めていきましょう。
いつから始めるべき?年齢別のおすすめタイミング
エンディングノートは高齢者だけのものではありません。
人生のさまざまな節目で始める方が増えています。
20代、30代から始める方もいるとは思いますが、特に下記のような年齢になった時に意識するものかと思います。
40代〜50代:親の介護を経験する中で、自分自身の終活にも目を向ける時期。財産管理や保険の整理から始めるのがおすすめ。
60代:退職を機に、これまでの人生を振り返り、残りの人生をどう生きるかを考える絶好のタイミング。
70代以降:健康や医療に関する希望、葬儀の希望など、より具体的な内容を充実させる時期。
大切なのは「完璧なタイミング」を待つのではなく、思い立った時に始めることです。
若いうちから少しずつ書き始め、人生の節目で見直していくのが理想的です。
どこで手に入る?エンディングノートの入手方法
エンディングノートは様々な形で入手できます:
書店やネット通販:様々な出版社から専用のエンディングノートが発売されています。1,000円〜3,000円程度で購入可能です。
100円ショップ:リーズナブルな価格で基本的な項目が網羅されたノートが販売されています。
金融機関や保険会社:顧客向けサービスとして無料配布していることがあります。
自治体:一部の自治体では、終活支援の一環として無料または低価格で配布しています。
自作する:市販のノートやバインダーを使って、自分に必要な項目だけをまとめることもできます。
初めての方は、項目が整理されている市販のノートから始めるのがおすすめです。
慣れてきたら、自分のペースや好みに合わせて、オリジナルのノートを作成してみるのも良いでしょう。

エンディングノートに書くべき重要項目リスト
エンディングノートに書くべき項目は多岐にわたりますが、ここでは、特に重要な項目をリスト形式でご紹介します。
①自分の基本情報(氏名・生年月日・住所など)
基本情報は、エンディングノートの土台となる部分です。
以下の項目を漏れなく記載しましょう
氏名(旧姓や通称名も含む)
生年月日・出生地
現住所と過去の住所歴
連絡先(電話番号・メールアドレス)
職歴・経歴
国籍・宗教
マイナンバー
運転免許証番号
パスポート番号
これらの情報は、各種手続きの際に必要となります。
特に公的書類の番号や発行日なども記録しておくと便利です。
②財産・資産のリスト(銀行口座・不動産・保険など)
財産情報は、相続手続きをスムーズに進めるために重要です。
以下の項目を詳しく記録しましょう
金融資産
銀行口座情報(銀行名、支店名、口座番号、口座種類)
証券口座(証券会社名、口座番号)
暗証番号の保管場所(直接書かないこと)
クレジットカード情報(カード会社、会員番号、有効期限)
不動産
所有不動産の詳細(住所、登記情報)
不動産の権利書の保管場所
ローン情報(借入先、残高、返済期間)
保険
生命保険(保険会社名、証券番号、保障内容、受取人)
医療保険(保険会社名、証券番号、保障内容)
自動車保険(保険会社名、証券番号、保障内容)
その他の資産
貴金属・美術品などの資産
デジタル資産(ネットバンキング、SNSアカウントなど)
③医療・介護の希望(延命治療・施設の希望など)
医療や介護に関する希望は、自分の意思が尊重されるために非常に重要です
医療に関する希望
延命治療に関する希望(人工呼吸器、人工栄養など)
かかりつけ医の情報(病院名、医師名、連絡先)
持病・アレルギー・服用中の薬の情報
臓器提供に関する意思
介護に関する希望
介護を受けたい場所(自宅か施設か)
希望する介護施設のタイプ
介護保険の情報
介護に関する経済的な計画
これらの希望は、家族に伝えておくことも大切です。
特に延命治療については、いざというときに困らないよう家族との対話を通じて理解を深めておきましょう。

④葬儀やお墓に関する希望(宗派・形式・費用など)
葬儀やお墓に関する希望を明確にしておくことで、残された家族の負担を軽減できます
葬儀に関する希望
葬儀の形式(一般葬、家族葬、直葬など)
宗教・宗派
葬儀の規模や予算
喪服や遺影の希望
参列してほしい人のリスト
香典返しの希望
お墓に関する希望
既存のお墓の情報(場所、管理者)
新たに墓を建てる場合の希望
墓石の種類や形状
散骨や樹木葬などの選択肢
墓じまいの希望
葬儀社や寺院との事前相談の記録も残しておくと、より具体的な準備ができます。
⑤家族・友人へのメッセージ
最後に残したいのは、大切な人へのメッセージです。
形式にとらわれず、心を込めて書きましょう:
配偶者へのメッセージ
子どもたちへのメッセージ
親やきょうだいへのメッセージ
友人・知人へのメッセージ
人生で大切にしてきた価値観
感謝の気持ち
謝罪したいこと
伝えたい思い出
家族への希望や願い
これらのメッセージは、残された人々の心の支えとなります。
「言わずに終わってしまった」ということがないよう、素直な気持ちを書き残しましょう。
【困ったときのQ&A】エンディングノートの疑問を解消!
エンディングノートを書く上で、さまざまな疑問や悩みが出てくるかもしれません。
ここでは、よくある質問とその回答をご紹介します。
途中で書くのをやめてしまった…どうすればいい?
エンディングノートを途中で書くのをやめてしまうのは、実はとても一般的なことです。
以下のやり方で少しずつ継続できるようにしていきましょう。
小さな目標を設定する:「今日は銀行口座の情報だけ」など、小さな目標に分けて取り組む
定期的な時間を決める:毎週日曜の午後30分など、習慣化するための時間を設定する
書きやすい項目から始める:難しい項目で挫折した場合は、書きやすい項目に切り替える
家族と一緒に取り組む:パートナーや子どもと一緒に作業することで、モチベーションを維持する
完璧を目指さず、少しずつでも継続することが大切です。
書いた部分だけでも、何も残さないよりはるかに価値があります。
家族に見せる?それとも自分だけのもの?
エンディングノートを家族に見せるかどうかは、内容や家族関係によって異なります
家族に見せるメリット
自分の希望を事前に共有できる
家族との対話のきっかけになる
内容の確認や補足ができる
見せないほうがよい場合
プライベートな思いや感情を率直に書きたい場合
家族間の関係に影響を与える可能性がある内容を含む場合
相続に関する複雑な希望がある場合(法的効力はないため誤解を招く可能性あり)
一つの解決策として、「生前に共有する部分」と「自分だけの部分」を分けて作成する方法もあります。
基本情報や医療の希望は共有し、個人的なメッセージは別に保管するなど、工夫してみましょう。
内容が変わったらどうする?更新のタイミング
エンディングノートは「完成品」ではなく、人生とともに更新していくものです。
下記のようなタイミングで内容の見直しをすると良いでしょう。
年に1回など、定期的な見直し
引っ越しや転職など、環境が変わったとき
結婚・離婚・出産など、家族構成が変わったとき
財産や保険の内容が変わったとき
健康状態に変化があったとき
更新の際は、日付を明記し、古い情報と新しい情報が混同しないよう注意しましょう。
デジタル形式で作成している場合は、バックアップを取ることも忘れないでください。

エンディングノートを書いた後はどう保管する?
エンディングノートの保管方法は、内容の重要性を考慮して選びましょう
保管場所の選び方
家族が知っている場所に保管する
湿気や直射日光を避け、劣化しにくい環境を選ぶ
火災や災害に備えて、重要書類と一緒に保管する
必要に応じて、信頼できる家族や友人に保管場所を伝えておく
保管方法の選択肢
自宅の書類キャビネットや金庫
銀行の貸金庫
デジタルデータとして保存(パスワード管理に注意)
公正証書として保管(法的な効力を持たせたい内容の場合)
重要なのは、必要なときに家族が見つけられることです。
保管場所を複数の家族に伝えておくか、「もしもの時に開封してください」と書いた封筒に入れて目立つ場所に保管するなどの工夫をしましょう。
エンディングノートを楽しく続けるコツ
エンディングノートは、人生の集大成とも言える大きなプロジェクトです。
一気に完成させようとすると、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。
継続するためのコツ
1回15〜30分程度の短い時間で取り組む
カレンダーに「エンディングノートの日」を設定する
1ページずつ、または1項目ずつ進める目標を立てる
書き終えた項目にチェックマークをつけて達成感を味わう
「完璧」を目指さず、「書けるところから」という姿勢で臨む
エンディングノートは、完成品ではなく「成長するドキュメント」と考えましょう。
人生と共に少しずつ育てていくものなのです。
手書き派?デジタル派?自分に合った方法を選ぼう
エンディングノートの作成方法は、自分のライフスタイルや好みに合わせて選ぶことが大切です。
手書きのメリット
温かみがあり、感情が伝わりやすい
パソコンやスマホが苦手な方でも取り組みやすい
特別な機器やソフトが不要
停電やシステムトラブルの影響を受けない
デジタル形式のメリット
修正や更新が容易
検索機能で必要な情報をすぐに見つけられる
データのバックアップが可能
写真や動画も含めることができる
複数の場所に保存できる
両方の良さを取り入れる「ハイブリッド方式」も人気です。
基本情報はデジタルで管理し、メッセージや思い出は手書きで残すなど、内容によって使い分けるのも良いでしょう。

今すぐエンディングノートを書き始めよう!
エンディングノートの作成は、一見大きな作業に思えますが、小さな一歩から始めることができます。
今日からできる具体的なアクション
市販のエンディングノートを購入するか、無料テンプレートをダウンロードする
まずは自分の基本情報(氏名、生年月日、住所など)を記入する
家族構成や緊急連絡先を書き出す
銀行口座や保険証書などの保管場所を確認し、メモする
カレンダーに「エンディングノート記入日」を設定する
これらの小さなステップから始めれば、徐々にノートを充実させていくことができます。
完璧を目指さず、「できることから少しずつ」という姿勢で取り組みましょう。
エンディングノートの作成は、単なる「終わりの準備」ではなく、より充実した人生を送るための積極的な選択です。
終活とは、人生の終わりだけでなく、残りの人生をどう生きるかを考える「生き方の活動」でもあります。
エンディングノートを通じて自分の人生を振り返り、価値観を見つめ直すことで、これからの日々をより意識的に、充実して過ごすことができるでしょう。
家族のために情報を整理することは、大切な思いやりの形です。
そして同時に、自分自身の心の整理や人生の振り返りにもなります。
「家族のため」と「自分自身のため」、この両方の視点でエンディングノートに取り組むことで、真の意味での「終活」が実現するのです。
また、エンディングノートの作成が終わったら自分史の作成もおすすめです。
自分史は自分の人生を振り返り家族や友人、後世に思いを伝えるための貴重な記録になります。
自分史もエンディングノートと同様に自分での作成も可能ですが、株式会社NAMEの自分史作成サポート「STORY」では家族へのインタビューや人生年表、レシピページなど一人一人にあった作成をサポートさせて頂いております。
3つのプランに分かれておりますので、自分に合ったプランはどれなのか是非ご確認ください。



